野村紘一さんは同じにしない付加価値の付け方で成功

野村紘一さんが携わって建築されたマンションは、いつの時代でも古さを感じさせないクオリティが高い印象を与えるマンションです。高級マンションの先駆けとして、その当時のニーズを掴むのがうまかったことは理解できます。さらに、その土地やその地域に適した付加価値を与えることなどを重視したから、建築当時だけでなくいまでも完璧な質の高さ、ハイクオリティーな外観や居住空間などが得られるのでしょう。オーナーも満足しているようで、対談でその価値の高さを評価しているほどです。
今では当たり前になった億ションも、建設が始まった1975年より前は、ありえない建物でした。なんでも安いものが好まれた時代が長く続いていたのですから、当たり前でしょう。でも経済が回りはじめ国全体が豊かになってくると、何にでもお金をかけたくなってくるのは人間の性分のようです。はじめは家電や高級な車などが売れ始めましたが、次にヒットしたのは住宅です。日本は島国で戸建住宅ばかりだと、いずれ土地が無くなってしまうことは容易に想像が付きます。だからこそ高層マンションが建設されていくのは必然ですが、億ションを建てることは想像し得ない時代背景でした。でも野村紘一さんは考え方が違っていて、家電や車の次は住宅だと潜在的なニーズを感じ取っていたようです。
海外の住宅事情にも詳しかったことも関連していると考えられ、当時から日本もいずれは欧米レベルの住居まで到達しなければならないと強く感じていたというから、億ションを建てるアイデアにつながったのでしょう。開発した土地それぞれに適した付加価値を付ける事は、個性を出すことにもつながったようです。一度野村紘一さんが億ション販売を成功させると他社も真似しましたが、どれも似たりよったりで飽和状態に行き着きます。しかし野村紘一さんが手掛けた高級マンションは同じマンションにはならず、新たなデザインやアイデアとともに、総合付加価値を付けて差別化されたため売上を伸ばし続けました。