野村紘一氏が考えるマンションの役割について

野村紘一氏はこれまで多くのマンションを建設してきましたが、住民からの意見に必ず耳を傾けるようにしています。設計の段階で、住民が快適に住めるようにと考え出した設備は、実際には役に立たなかったこともあります。そんな時は住民の意見によって工事をし直すことも考えていますし、これから新たに建築するマンションに生かすようにすることが大事だと提言をしています。
住んでみなければ実際の雰囲気はわからないところもあるので、野村紘一氏は一戸建てのようにマンションもモデルルームとして開放する部屋をできるだけ多く取りそろえるようにしてます。一般的には新しいマンションが売り出されても、内覧見学をできるのはいくつかの部屋に限られています。しかしそうなると高層階を見学した人がそれとは別の階に住んだとき、想像していたものと違ったということが起こってしまうからです。決して安い買い物ではありませんし、できれば長く住んで欲しいというのが野村紘一氏の考え方です。長く住むことによって愛着がわきますし、住民同士の交流も盛んになります。
愛着があれば、住民が積極的に掃除を行ったり、マンションでの生活を良くしようという自治が生まれると考えているからです。最近ではご近所同士の関係が希薄になっていることは野村紘一氏も理解していますが、これからの時代は単身世帯も多くなります。高齢化が進んで独り暮らしのお年寄りが増えることが予想できますから、そんな時は遠くに住む親戚よりも近くにいるご近所さんとの絆が大事です。そこで役立つのがマンションというコミュニティになります。災害が起こったときは周囲に買い物に行っても品不足が続くことがありますから、そんな時にマンションの共同スペースに食品や飲料、防災装備をストックすることができれば、一定期間は凌ぐことができます。
知り合い同士に声をかけることができれば不安も解消されますから、これからはマンションの役目を見直す時期にきているといえます。